国際的な医療機能評価(JCI)認証取得
国内でも屈指の医療機関として知られる聖路加国際病院様。
1901年に開院し、ヤマシタとの取引が始まったのは1972年のことでした。
その後聖路加レジデンス、聖路加予防医療センター、聖路加助産院、聖路加メディローカス、
聖カタリナ病院など系列施設でもリネンを納品しています。
普段のご評価から災害時の対応まで、福井前院長はじめ青木総務部長、谷部マネジャーにお話を伺いました。
(聞き手:ヤマシタ代表取締役社長 山下和洋) 取材日:2018年8月6日
山下:聖路加国際病院様とは46年にわたるお付き合いをいただいております。普段は患者用寝具やタオル類、病衣、医師や看護師のみなさまのユニフォームをご納品させていただいているほか、院内リネン管理業務や院内洗濯機操業業務、ベッドメーク業務を行うスタッフを約20名常駐させていただいています。こうした取引は福井前院長が最終判断をなさっているということですが、どういったご意図を持って決められたのでしょうか。
福井前院長(以下、福井氏):
判断材料とするのは3点です。まずは病院としての要望に応えてくれること。2点目がスピード感、3点目がコストです。現場からはいつも、要望に沿った頻度できちんと役目を果たしていただいていると聞いていますし、私もそのように思っています。加えて、社長をはじめ、交渉にあたる方々との相性ですね。
山下:ありがとうございます。そういえば聖路加国際病院様は国際的な水準に達した医療を提供することを保証するため、JCI(※)の認証を取得されていますが、このたび3回目の更新をなさったそうですね。
(※)JCIはJoint Commission Internationalの略で、国際的な医療施設評価認証機関。
福井氏:今回は今まで以上に高く評価されました。それぞれの部署で、患者さんの安全性と医療の質に関するテーマについて改善のサイクルを回しています。リネンの安全性についても国際的なレベルをクリアすることが求められます。
青木部長(以下、青木氏):JCIの認証は14分野1145項目で医療施設を評価するのですが、そのなかに「患者安全」「感染管理」といった項目があります。感染防止にしっかりと取り組み、それをデータとして残すことが求められますが、ヤマシタにJCIの基準に沿った改善をお願いすると、積極的に取り組んでくださいました。現場を見たナースが「ここまで改善されているなんて。」と驚いていたくらいです。
また、ルールの意味を理解して厳守してくださるのもありがたいですね。
山下:ありがとうございます。このインタビュー後、すぐに褒めにいきます。現場のスタッフも喜ぶはずです。
山下:聖路加国際病院様の場合、当初は院内で洗濯を行っていたものを全品リネンサプライに変えられました。その経緯やメリットについてお聞かせください。
青木氏:院長が主催する「ゼロベースプロジェクト」という会議があります。コスト削減を目的に行っていますが、そこでドクターのユニフォームの交換頻度が検討されました。ユニフォーム交換の数を見直すことで一定の効果を認めたところに、リネンサプライというものがあることを知りました。まずはドクターのユニフォームから、続いてナースと看護助手のユニフォームをリネンサプライに切り替え、最終的に年間2,000万円コストダウンできました。
山下:それは何よりでした。貢献できて本当に良かったです。2015年春からはベッドメークや院内洗濯機の増設など周辺業務の拡大もしていただきました。こちらの経緯とメリットについてはいかがですか。
青木氏:経緯としては、感染管理の観点から布団類の洗濯の頻度を上げることにしたのがきっかけです。これが一筋縄ではいかない課題でした。実現しようとすれば今の2倍の布団を在庫として持つことになり、工場に運んで洗濯をしようとすれば物流もおさえなければいけません。院内でどうやってそれらを回していくかも問題です。検討の結果、単純にSPD
(院内物流管理システム)を増やすよりも、ヤマシタで布団の洗濯から物流までお任せしつつベッドメークも請け負ってもらうことをお願いしました。
山下:在庫といえば、東日本大震災の際には常駐している弊社スタッフが、リネン類の供給を止めないよう尽力させていただいたと聞いております。BCP(事業継続計画)のひとつとして、どのようにお考えですか。
青木氏:震災ではトラックが動かなくなってしまい、新しいリネンが入ってこないばかりか、汚れたリネンも持っていってもらえない状況になりました。ただ、結果として患者さんを困らせることにはなりませんでした。現場の責任者の方が院内の洗濯機を回し続けてくれたためです。
福井氏:1週間くらい、リネン室にずっと御社の方がいらっしゃるということで驚きました。
青木氏:本当に厳しい状況で、問題となっていることをまずは全部責任者の方に相談し、ひとつひとつ解決していきました。患者さんが最優先なので、この時期だけは職員のユニフォームは各自自宅で洗濯をするなどして乗り切りました。震災直後は日々刻々と状況が変化していましたので、対応していただき本当に助かりました。
山下:患者様や、現場の方々からのヤマシタの評価についてはいかがでしょうか。
谷部マネジャー(以下、谷部氏):
クレームや改善要求はほぼないと思います。JCIの取得に取り組んでから私たちが業者の方に求めるものが高くなっていますが、リネンはほとんどありません。「患者さんの症状に合わせて、こういった枕を作って欲しい」という前向きな要望が増えた感じはあります。
山下:なるほど。聖路加国際病院様全体にとっては、どのような位置づけとして貢献できていますか。
谷部氏:プロ意識が高い方が多いです。たまにこだわりすぎではないかと思うこともありますが、後から考えると「あのこだわりも悪くない」と思えます。
山下:たとえばどのようなところでしょうか。
谷部氏:回収した白衣や患者さんの物には私物が紛れ込んでいることも多いのですが、それをひとつひとつ丁寧に、仕分けと保管をしていただいています。もちろん当院でもユニフォームからポケットをなくすなど改善を検討していますが、それでも混入をゼロにすることは難しく、非常に助かっています。あとは笑顔でしょうか。いつも笑顔で挨拶してくださるので、看護師さんも気持ちよく働けていると聞いています。
山下:ありがとうございます。現場のスタッフたちに伝えさせていただきますね。私たちも安全性には重々意識しておりますが、ご協力いただきながら高品質と安定供給を実現してまいります。